秋田楢山教会 日本キリスト教団 〒010−0011 秋田県秋田市南通亀の町12−19
018−832−4938 ecclesia@akita-narayama.org 牧師 川島 隆一
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----------------------------------------------------------     【聖書全巻通読】 聖書への旅(32)    長い年月がたち、エジプト王は死んだ。    その間イスラエルの人々は労働のゆえにうめき、叫んだ。    労働のゆえに助けを求める彼らの叫び声は神に届いた。                  (出エジプト記2:23)  「湾岸戦争、ドイツ統一、民族紛争、ペレストロイカ、EU統  合、貿易摩擦、環境汚染……次々と起こる世界規模の構造変化、  21世紀を目前に世界はまさに政治的、経済的、社会的に不透  明な時代に突入している。この『見えない状況』からどう脱し、  新しい世紀へ向けて対応してゆくべきか?」(ダニエル・ベル)   時代は膨らみきった風船のように、一気に破裂することがあ  る。近くでは、1989年のベルリンの壁崩壊がそれである。  第二次世界大戦後、世界は米ソの冷戦構造の中で核の脅威のも  とにあった。その枠組がベルリンの壁の崩壊とともに一気に崩  れ去ったのである。その時の変化を、嵐のただ中にいたチェコ  の大統領ハベルは次のように語った。「歴史上、これだけ巨大  な変化が起こった時期は希だ。・・・適用すべき基準もないし  確たる予言もできない。」   この時イスラエルに起こったのも、その後の世界の歴史を決  定する「巨大な変化」であった。一人の王の死によって、時代  が大きく動き出したのである。奴隷の地、苦しみの地で叫ぶ人  人の叫びが神に届くと、「神はイスラエルの人々を顧み、御心  に留め」(25)、彼らをエジプトから導き出すことを決意さ  れる。   この「出エジプト」の経験は幾世紀もの間、差別と貧困、抑  圧の中にある人々にとって「希望の光」となった。その現代版  が「解放の神学」である。それは、これまでのどの神学よりも  人間の辛苦と悶えという厳しい試練の中から形成された神学で  ある。   解放の神学者グティエレス神父が発した問いは、わたしたち  の心を烈しく揺さ振ぶる。「われわれは、貧困と抑圧の蔓延す  る状況下において、愛として顕現される神について、いかなる  ことばを発すべきなのであろうか? 若くして、また不当に蹂  (じゅう)りんされて他界する男女に対し、われわれは生ける神  の存在をいかに告げるべきなのであろうか? ・・・人間とし  て見なされることのない男女に対して、あなたがたは神の息子  であり、娘なのであると語るとき、われわれはどんなことばを  もってそれを語ればよいのであろうか? これらが、ラテンア  メリカで、また同様の状況に置かれた世界の他の地域で形づく  られてきた神学において問われている主要な問題なのであ  る。」(『ヨブ記』)。   私たちは、貧困と抑圧が蔓延する社会にあって、愛として顕  現される神について語る言葉を持っているだろうか。若くして  また不当に蹂りんされて他界する男女に対し、生ける神の存在  を告げる言葉を持っているだろうか。人間として見なされるこ  とのない男女に対して、あなた方は神の息子であり、娘である  と語る言葉を持っているだろうか。   このグティエレス神父の問いに答えるには、解放の神学が拠  って立つ「出エジプト」の出来事にその答えを見いだす以外に  ない。奴隷の地エジプトからの解放とは、一体、何であったの  か。心理学者ユングは、この「ヨブへの答え」を十字架上のキ  リストの叫び、「わが神、わが神、なぜ、わたしをお見捨てに  なったのですか」に見た。私たちが見るのもそれ以外のもので  はありえない。 ----------------------------------------------------------      +聖書への旅(1)〜(31)は 【教会ブログ】参照 ----------------------------------------------------------
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